19の夏~私の愛した殺人鬼~
今までにだって夜の世界で働いている人間や、裏の世界の人間とは否応なしに関わってきた。
けれど、それは時に熱い絆で結ばれていて、時に仲間を簡単に見殺しにする。
いくら事件を解決へと導いても、それはしょせんトカゲのシッポ切りでしかない時だってある。
真犯人は、とうの昔に逃亡し、のうのうと生きているのだ。
口の中から白い煙りを吐き出しながら、被害者の顔を思い出した。
両親が早くに亡くなった昌代は、親戚の家を渡り歩いていたらしい。
その中で自分の居場所を見つける事はできなかったのだろうか?