19の夏~私の愛した殺人鬼~
☆☆☆


「やだな、遅くなっちゃった」


 夜の12時をまわろうとする時間、飯田昌代(イイダ マサヨ)25歳は、薄いブルーのワンピースに高いヒール姿で夜道を急いでいた。


 アルバイトをしている風俗店からアパートまでは、徒歩10分ほどの距離。


 普段はもう少し早い時間に帰る事ができていたけど、この日に限って遅くなった。


 近場なので送ってもらうのも悪く、断ったのだが、こんな事なら甘えておけばよかった。


 働いているキャバクラはネオン街の1番隅の店なので、そこからはずれるとあっという間に明かりは途切れる。


 まるで、ここから先は立ち入り禁止。

 とでも言われているように、人の姿もパッタリと途切れるのだ。

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