19の夏~私の愛した殺人鬼~
 そんななか、若い女が1人で歩いているのだから、怖いのは当たり前だ。


 茶髪で、強いパーマをあてた髪だけが、暗闇のなか月明かりでキラキラとやけに綺麗に光っている。


 歩くたびにフワリフワリと揺れる髪に……

誰かの指がソッと触れた。


「キャッ!?」


 髪を触れられた感覚に悲鳴をあげ、振り返る。


 しかし、そこには誰もいない。


 ただ暗い路地が続いているだけで、ノラ犬やノラ猫の姿さえ見えなかった。

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