19の夏~私の愛した殺人鬼~
「あぁ、実は先日殺人事件が起きたんだ」
さっそく本題へ入れることにホッとしながら、幸也は口を開いた。
しかし、
「殺人は人間の仕業だ。警察がどうにかしてくれるだろ」
と、すぐにネコが話を遮った。
空になったコーヒーカップに、また真っ黒な液体を注ぎ込む。
「俺の父親は警部だ」
「じゃぁ、いいじゃないか。何のために現実主義の警察がここへ来た」
ネコの口調は冷たく、突き放すようだった。
元々そんな話方をしていたけれど、警察の話が出てきた途端に冷たさを増した気がする。
「坊ちゃんよ、ネコを冷やかすのはやめときな。あのメールの内容に警察沙汰だなんて書いてなかったじゃねぇか」
冬我が、火のついていないタバコをくゆらして言う。