19の夏~私の愛した殺人鬼~
☆ ☆ ☆
その日の夕食時、新田は幸也の顔色をうかがっていた。
目の前に並べられた豪華なおかずに、無言のまま箸を伸ばす幸也。
ジッと一点を見つめているような目をしているのは、考え事をしている証拠だ。
「何を考えている?」
新田の言葉に、幸也の箸が空中で止まる。
「あぁ、今回の事件のこと」
「何かわかりそうなのか?」
「まだだよ。幽霊なんて俺の分野じゃない。
だけど、戦力になりそうなヤツは見つけたよ」
そう言いながら、ネコの顔を思い出す。
冷たくて、透明なバリアを張っているようなネコ。
だけどそれが逆に魅力的で、深い黒目にすべてを吸い込まれそうになる。