19の夏~私の愛した殺人鬼~
「捜査の方はどうなの?」
「あぁ……、まぁまぁだな」
と、新田は言葉を濁す。
普通、一般人に情報を垂れ流すのはご法度だ。
幸也の場合は少し特別なのでそれも許されるのだが、怪しい人物を見事取り逃がした。
なんて胸を張って言えることではない。
「あまりよくないみたいだね」
幸也の言葉に答えを出さず、新田は話を切り替えた。
「ところで、サークルの方はどうなんだ? 次の指令は来たのか?」
「まだだよ。指令はいつも不定期なんだ」
「指令は一体誰が送ってくるんだ?」
「さぁね。なんせネット上の交流しかないから。
お互いに本名も明かさないし、わからないことだらけだよ」
ヒョイと肩をすくめて言った。
幸也が所属しているのは、ネット上のみに存在する探偵ゴッコのようなサークルだった。
登録すればメールで指令が送られてきて、それを各自で動き謎解きをするという、リアルなゲームみたいなものだ。