19の夏~私の愛した殺人鬼~
☆ ☆ ☆
夜の山中は気味が悪かった。
昌代の殺された午前0時にほど近い時間。
星が瞬くその下で、紗耶香は何かに引き寄せられるように殺害現場へと向かっていた。
右手には白い花。
すでに何もなくなった現場へ出向いて、一体どうする気なのか。
昼間、火葬された後の昌代の姿を見て、気付いたのだ。
バラバラになった骨の一つ一つが、何かを伝えたいという思いで溢れていることに。
真暗な山道を携帯電話の明かり一つで真っ直ぐに歩いていく。
時折聞こえる風のうなり声や木々のざわめきに身をすくめることなく、その場所だけを目指していた。