19の夏~私の愛した殺人鬼~
 アパートの入り口まで来て歩調をゆるめた……

その瞬間。


 確かに、誰かが昌代の髪をなでた。


 まるで、愛しいものをその手で確認するかのように、ゆっくり丁寧に。


 昌代は恐怖からマスカラたっぷりの目をカッと見開き、小刻みに震えだす。


 次の瞬間!


 誰かに口を塞がれた昌代は、悲鳴を上げることもなく

闇の世界へと引きずり込まれて行ったのだった……。

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