19の夏~私の愛した殺人鬼~
「え?」
「あんなのが親父なワケないだろう。
あのおっさんとは血が繋がっていない」
突然のネコの言葉に、幸也は目をパチクリさせる。
小屋の中は相変わらず蒸し暑く、そこに冬我の姿はなかった。
「俺は山に捨てられていたそうだ、まだ歩く事もできない赤ん坊の頃にな。
それを、偶然通りかかったおっさんが拾った」
幸也に背を向けていつもの苦いコーヒーを淹れるネコが、淡々と自分の生い立ちを語り始めた。
「生まれたときからだったらしい……。
俺の、第三の目の能力は。
だけど、幼い頃はその能力を制御できなかった。
――つまり、三つめの目を隠す事ができなかったんだ」
ベッドに腰をかける幸也へコーヒーを渡し、話を続ける。