19の夏~私の愛した殺人鬼~
「気味悪がった親は、俺を山の途中へ置き去りにした。
その頃偶然、おっさんは一人でフラフラと死に場所を探してたんだ」
「死に場所?」
「あぁ。
何があったか詳しい事は知らないが、自殺する気で山に入って、そこで俺を見つけたらしい」
……なるほど。
ネコが持っている、人を寄せ付けない雰囲気の理由を垣間見れた気がした。
人を寄せ付けない中からあふれ出す魅力は、この悲しい過去でネコ自身に大きな変化をもたらした結果かもしれない。
幸也は細い目を更に細くし、思いっきり口角を押し上げて笑った。
「なるほど。
ネコは、あのおじさんの生きる力になったわけだな」
幸也のその言葉に驚いたように丸い目をグッと開き、口をポカンと開けて止まってしまう。