19の夏~私の愛した殺人鬼~
相変わらず、冷たい言葉が飛んでくる。
「ただ、確かに何かいるような気配はあった」
「幽霊か?」
「だから、まだわからないと言ったろ?
警察の息子は案外バカなんだな」
ふぅ、と深くため息をつき、目を細めて幸也を見る。
その、人を小バカにしたような物言いと仕草に、幸也のコメカミがピクリと動いた。
イラつきを我慢しているのだ。
そんな幸也を尻目に、ネコはまた口を開いた。
「二人の人間を見た」
「人間……? 生霊か?」
グイッと身を乗り出して真剣に聞く幸也に、ネコは思わずふき出した。
おかしそうに、腹を抱えて大声で笑うネコ。
「なんだよ……」