19の夏~私の愛した殺人鬼~
意味がわからず、その様子をキョトンとして見つめる幸也。
「お前、本当に警察の息子か?
幽霊だとか生霊だとか、本当に信じてるのか?」
おかしそうに笑いながら聞いてくるネコに、幸也は口をへの字に曲げて、
「信じるもなにも、実際そういうのが見えるヤツが目の前にいるじゃないか」
と、呟く。
「それが笑えるんだよ。
『僕、幽霊が見えるんです』
って言ってるヤツをそのまま信じる。本当にバカだな」
さっきからバカ呼ばわりされ、いい加減腹の中が煮えたぎってきた。
俺はあくまでもここの客だぞ?
「人間は人間だ。普通の、足がついている人間」
自分の両足をパンパンと叩いて、『足』を強調するネコ。
と、いうことは生きた人間ってことだ。
「人間……?」