19の夏~私の愛した殺人鬼~

 意味がわからず、その様子をキョトンとして見つめる幸也。

「お前、本当に警察の息子か?

幽霊だとか生霊だとか、本当に信じてるのか?」


 おかしそうに笑いながら聞いてくるネコに、幸也は口をへの字に曲げて、

「信じるもなにも、実際そういうのが見えるヤツが目の前にいるじゃないか」

 と、呟く。


「それが笑えるんだよ。

『僕、幽霊が見えるんです』

って言ってるヤツをそのまま信じる。本当にバカだな」


 さっきからバカ呼ばわりされ、いい加減腹の中が煮えたぎってきた。


 俺はあくまでもここの客だぞ? 


「人間は人間だ。普通の、足がついている人間」


 自分の両足をパンパンと叩いて、『足』を強調するネコ。


 と、いうことは生きた人間ってことだ。


「人間……?」


< 99 / 356 >

この作品をシェア

pagetop