piece
結局3時すぎまで電話をしてしまった。
海央も航太も上京組でひとり暮らし。
航太も大学1年生で
海央たちは同い年だった。
地元のことや好きな食べもの
海央の居酒屋の店長のこと
どんなにくだらないことも
どんどん言葉が出てきてしまう。
こんなに話が尽きないのは久しぶりだと
また話がはじまる。
結局海央が明日も朝から学校だということで
さすがに寝ようかと航太が言った。
航太と話すと安心する
海央はそう思ってすぐに眠れた。
朝もアラームで起こされたが
全然眠くなかった。
4時間…
いつもの睡眠時間より半分しか寝ていないが
頭も目もスッキリしている。
アパートから駅まで歩いて10分
サラリーマンやOL
制服をきた学生たち
みんな5月病のように怠そうだが
海央は清々しかった。
夜更かししたのにファンデもよくのった!
クマもなし!
買ったばかりで綺麗について嫌だった
ランコムのマスカラだって調子がいい。
『学校行ったら優奈に話そう…
あ…ミカとのんちゃんにしようかな』
海央は昨日の航太の話をしたかった。
一番に仲良くなった優奈にしようと思ったが
少し不安になった。
優奈はすぐに会いたがる。
入学してすぐに
ミカの彼氏に会いたいとみんなで飲みに行った。
大学にサッカーで入り忙しいミカの彼氏は
わざわざ合宿所を抜け出して来てくれたのに
「じゃああと3人友達呼んでよ♪」
と優奈は言い放った。
そんな前科を思い出し
まだそんなんじゃないからいいか、と思った。
ヴヴヴヴヴ…
海央の携帯がバイブしている。
《おはよう!
起きれましたか?
僕は爆睡中でしたが
みおが心配で起きました。
学校がんばって!
ちなみに僕は休講です♪》
航太からのメールだった。
みお
航太がメールの中で
名前を呼んでくれたこと
海央は嬉しかった。
電話じゃうみちゃんだったのに
海央は思いっきり走りたくなった。
汗なんか気にしない!
みんなだって気にしない!
走って走って
あの海まで行きたくなった。