piece

のんちゃんは犬なのか
それとも不思議な力を持つのか
匂いはともかく
何かあったことは当たっている。
海央はただただ
のんちゃんの能力に感心していた。

「昨日バイトで大学生と仲良くなったんだ」

「うんうん。
新人さん?」

「お客さんで同い年。
なんかめちゃくちゃカッコイイ!
とかじゃなくて
なんかいい感じなんだよね
ふふ♪」

「海央にしちゃ
珍しいんじゃない?
知らない人は完全スルー派なのに」

「そうなんだけどね~
なんか航太くんは違った!」

「"航太くん"かぁ♪
どんな感じだったの?」

海央は自分のこんな話
久しぶりに話した。
相手がのんちゃんでよかった。
そう思っていた。

海央は航太のことを
顔つき、背格好、洋服の系統や
深夜のほろ酔い電話のこと
大体全部話した。

一目惚れしてしまったとか
そんなことはないけれど
これから新しい友達になるのか
新しい好きな人になるのか
航太のことを想うたびに
自分がきらきらしていく気がした。

「ふふ♪
だからいい匂いだったんだね。
じゃあこれから仲良しになって
友達として好きになるのか
彼氏になって好きになるのか
わからないけど
のんちゃんは応援しよう!」

「のんちゃぁぁん!!!」

のんちゃんはまだ誰にも言わないなら
黙っておくねと言ってくれたので
ふたりの秘密にしてもらった。

学校に着き教室に入ると
昨日と同じ服の優奈がいた。
隣にいたミカと目が合い
笑いながらアイコンタクトした。

ヴヴヴヴヴ…

海央の携帯がバイブした。
航太からだった。


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