心の友と書く『心友』がいますか?
顔を上げると、傍には潤が同じようにしゃがみ込んでくれていて。
私は泣き顔を見られないように、もう一度俯いてからゴシゴシと顔を擦った。
「ご・・・ごめん・・・ね。遅刻・・・しちゃって」
「バ〜カ。お前のせいじゃないじゃん」
ホラッと手を差し出されて、掴むと引き上げてもらって。
「コートのお尻汚れてんぞ」
潤に言われて慌ててお尻をパンパンと叩く。
「それとこれ」
引き上げた手と逆の手には潤の為に買った手袋の入った紙袋があって。
「ありがとう」
お礼を言って受け取った。
「あいつ、マジでしめる!」
「大丈夫だから。ちょっとびっくりしただけで」
潤の本気の顔を目にして私は慌てて大丈夫だと繰り返す。
だけど、潤は本当に怒っているみたいで。
「心配してくれてありがとね」
「ホント。俺、お前には心配ばっかりかけられてさ」
保護者みたいだと言って笑ってくれた。
潤といると、さっきの怖さが少しずつ溶けていって。
「こ・・・これからどうする?」
完全に溶け切るまで、もう少し一緒に居たいと思っていた。