たぁ坊とるぅ *32page*
「るーぅー♪るぅるぅるーるるるるるーぅー」
「あ゛ーもう、うっさい!!」
「お願いだよるぅ。次、絶対あたるんだって」
こやつは高い身長をヘタリと折って、楽しそうにジタバタしてる。
……私の机で。
「しょーがないなぁ。じゃ、数学のここ教えて?」
「これが分かんないのか?可愛いヤツめっ」
私の頭をぐりぐりと撫でるランちゃんは、綺麗にニカッと笑った。
「ってかるぅ、なんか元気ないね?」
「や、そんなことないし」
校庭を眺めれば、体育の時間らしいアイツ。
楽しそーにしちゃってさっ。
私と居るときは無愛想なくせに。
「はぁ~♪たぁ坊と喧嘩でもしたか?」
「ぶぇっつに」
「はは。ねえるぅ」
「あ?」
急に真剣になったランちゃんは、その切れ長で澄んだ瞳を私に向けた。
「言いたいコト、ちゃんと言いなよ?」
ランちゃんがなんでそんなコト言うのか、私には解らなかった。
「あいつ、鈍いからさ。ちゃんと言葉で伝えないと分からないって言ってんのっ」
言いたいコトは、きっといっぱいある。
でも、それを言葉にすることが出来ない。
抱えたモヤモヤは大きく膨らむ一方なのに。
なんでアイツは笑ってるんだよ。
イライラは、積もるばかりだった。