たぁ坊とるぅ *32page*
「帰ろ」
「‥っ、」
部活が終わって、みんながパラパラと帰って行く。
「待ってなくて良いって、言ったじゃん‥」
「ん」
私はテニス部だから、バスケ部のこいつに比べてコート整備に時間がかかる。
バスケ部は2面。
テニス部は5面もコートを持ってるから。
「お疲れ」
そう言って私の頭に手を置く。
それがなんだか馬鹿にされてるようで、私は下を向いた。
「たぁ坊ーお疲れー」
「また明日なー」
「おー」
仲の良さそうなカップルが、繋いだ手をゆらゆらさせながら帰ってく。
「たぁ坊バイバーイ」
「好きだよーなんて、きゃーっ」
きゃーってなんだよ。
好きだよってなんだよ。
普通、彼女が居る前で言う?
「おー」
おーってなんだよ。
普通、焦んないかな?
そしてこいつは、何事もなかったかのようにまた
「ん」
って手を伸ばすんだ。
ーー‥っ、ん。じゃ分かんないよ!!
「おい、自転車」
すたすたすたすた
チリチリチリチリ
なんで同じスピードなのか。
それすらもイライラする。