たぁ坊とるぅ *32page*
帰り道。
私がどんなに遠回りしても、フラリと公園に寄っても。
駄菓子屋で買い物したって付いて来る。
こいつ‥いつの間にか紐付きのべっこうあめ食べてるし。
「ん」
「何」
差し出した手には、こいつが食べてるのと同じ飴がぷらぷらしていた。
「当たった」
「あそ」
「やる」
「いらない」
そう言うとこいつは、私の顎を押さえつけ、無理やり飴を入れた。
「うぐ‥」
入れられたもんは仕方ない。甘いそれを口の中でコロコロ転がす。
「うまいか?」
私は下を向いたまま、コクンと小さく頷いた。
「そか」
その言葉と同時にまた、こいつのバカみたいにデカい手が私の頭に乗る。
てくてくてくてく
チリチリチリチリ
少しだけ、ゆっくり歩いてみた。
するとこいつも、
いつもよりゆっくりになった。