涙空-ruizora-

葛城



◇紗楽side◇




―――――………




冷たい冬が過ぎ、やわらかな春の日差しがさし始めた4月の今日、待ちにまった入学式がある。



その日は、晴れていた。




「新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。私は、生徒会会長の鷺沼歩夢サギヌマアユムです。どうぞよろしく。――――一一…………分からない事があれば、何でも聞いて下さい。」


――…



「次は新入生代表の挨拶です。1年2組結城紗楽さん、よろしく。」


ビックリして顔をあげた。
まさか自分が1位だったなんて。

っていうか、あたしこう言うの無理なんだけど………


とか思いつつ、とりあえず壇上にあがった。



「あー……えっと……新入生代表、1年2組結城紗楽です。って……えっ?何言えばいいのか分からないんで、とりあえず、学校生活楽しみましょう…?」


やばい………
絶対おかしかったな今の。
っていうか、校長ー…先に連絡ぐらい………



―……


「これで入学式を終わります。」



校長を睨んでる間に、入学式が終わり、みんな一斉に教室に行き始めた。




………その時だった。








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