もっと腐ってもいいんじゃない?
∽第一章∽ 過去から始まった
悲しみを隠せるかな。
強く居られるかな。
あの日、私は空っぽで、ただ立っていた。
黒板の前に立ち、転校してきた挨拶をしなきゃ。
明るく自己紹介をしなきゃ。
そう自分に言い聞かせ、無理矢理な笑顔を作った気がする。
名前を言い、「よろしくお願いします」と、言うのが、その時は精一杯だった。
得体の知れない恐ろしさが、ふいに込み上げてきた。
次の自分に行く約束を今朝、自分としてきたのに。
その反面、誰もいらない、誰も信じない、独りなんか怖くない。
そんな事も思っていた。
それは、誰もが少しは経験したかもしれない、いじめに合った時。
皆とは違う複雑な家庭環境から始まったのかもしれない。