【続】幼なじみは俺様王子。
ポケットに手を入れて颯爽と立ち去る水沢日向クンの背中をジッと見つめていると、楓に「おい」と引き寄せられた。
ふらつきながらも、両足に体重をのせてなんとかバランスを保てた。
不意に楓を見ると、どことなく不機嫌そう……。
や、ヤバい……
怒ってる……
ふたりの間に気まずい沈黙が流れる。
「……アイツには絶対、ついて行くな」
「えっ、……うん」
とんだ拍子抜け。
もっとなにか言われるのかと思った。
“ついて行くな”ってそれだけ?
それに……
――「お前には分からないよ。絶対に」
――「どうだろうな?」
あのふたりの意味深な会話。
なにか関係があるの?
ますます迷宮入りするばかりだ。
「ほら、戻るぞ」
振り返らず素っ気ない口調で言い放った楓に、あたしは黙ってついて行った。