【続】幼なじみは俺様王子。
『今から会えないかな?』
「へっ?」
い、今から……?
『会って話したいことがあるんだよね。……あ、だけど、この間みたいに手荒なマネはしないから』
『安心して』なんて言われても、やっぱり少し不安。
それに、もし水沢日向クンと一緒に居るところを楓に見られたら、余計に誤解される可能性だってある。
「……あのね、水沢日向クン」
やっぱり行くのはやめよう。
あーちゃんにも「関わらない方がいい」って言われたし、なんかあたしも嫌な予感がする。
“行けない”と断ろう。
そんなあたしの心情を読み取ったかのように水沢日向クンは言葉を発した。
『……俺のこと、知りたいんでしょ?なんで俺が穂香に付きまとうのか』
さっきとは打って変わって、真剣な雰囲気が電話越しからでも伝わってくる。
『来たら教えてあげる』
「ちょっと、水沢……」
そう言うと、水沢日向クンはあたしの応えを聞こうともせず、一方的に電話を切った。