【続】幼なじみは俺様王子。




……美香サン。


両親同士仲がよくて、家も近かったことからすぐに意気投合して付き合いが始まった。


周りからは羨ましがられる程、仲の良いカップルだったと言う。


高校も2人で必死に勉強して見事、同じ高校に進学することが出来た。


ちょっとやそっとのことで離れ離れになるような仲ではなく、2人の間に亀裂が入るようなことは、ただの一度もなかった。


だからこそ言えなかった。


……父親の仕事の転勤で街を離れることを。


言ったら悲しむであろう美香サンを察して、美香サンには最後まで告げることもないまま、“さよなら”も言わず街を離れた。


街を離れてからも美香サンから何度か連絡があったけど、あえて出なかった。


衝動に身を任せたまま電話に出たら、きっと会いたくて会いたくて仕方なくなるから。


だから、メールも電話もずっと無視していると言う。


……だけど次第に美香サンからの連絡が途絶えた。


電車で3時間以上かかる街に、美香サンの元に、もう帰ることなんて確実にない。




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