【続】幼なじみは俺様王子。
「……伝えて。美香サンに」
恋には様々なカタチがあって、
それぞれに置かれた状況がある。
だけど、気持ちは自分自身にしか分からないから……
きちんと言葉にして相手に伝えなくちゃ、いけないんだ。
水沢日向クンも、あたしも……
「……ありがとう」
立ち上がった水沢日向クンはそう言って、あたしの頭にポンと手の平を乗せた。
「俺、きちんと伝えるよ。もう逃げたりしない」
雨音でかき消されることのない凛とした言葉には強い意志が込められていた。
「今まで本当にごめん。それと、ありがとう」
あたしは笑顔で頷いた。
「……あ」
頬に伝う雨粒に、我に返ったと同時に気がつく。
「……すっかり濡れちゃったね。今更だけどこれ」
「差して帰って」と足元から拾い上げた傘の雫を振り弾いて、あたしに差し出す。
傘も差さずに家を飛び出して来たのはあたしの方。
水沢日向クンの傘を借りて帰るのは、なんだか申し訳ない。
「い、いいよ……!あたしは大丈……」
言葉が途切れたのは、背中に温かい温もりを感じたせい……。