【続】幼なじみは俺様王子。




困惑した水沢日向クンをジッと見据え、楓は静かに言い放った。



「手を出させるつもりはこれっぽっちもなかったけど?」


「えっ?」と戸惑う彼に楓は更に続ける。


「穂香はホイホイついてくような女じゃねぇし、もし手を出されたとしても……」


何も出来ずに、ただ呆然とその光景を見つめる。


更に楓が詰め寄って、水沢日向クンの顔が少し歪んだ気がした。


「その時は、力ずくで奪い返すまでだ」


夢の中にいるのかと錯覚を起こした。


挑発的かつ甘味な言葉にあたしの甘い胸の疼きは止まることを知らない。



やっぱり彼はいつでも王子様だ。


「穂香、帰るぞ」


楓が傘の持っていないあたしの左手を握り、強引に引いて行く。


振り返った先に見えた水沢日向クンは優しい眼差しで、あたし達を見つめていた。


戸惑いを隠せない反面、与えられた左手の温もりにじんわりの胸が温かくなった。





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