【続】幼なじみは俺様王子。




「水沢のことだけど」


「……うん」


あたしが頷くと、楓が口ごもってしまって、なかなか次の言葉を発っそうとしない。


頭の後ろを掻きながら、気まずそうにあたしから視線をずらした。


……あ、照れてる。


そんなことを考える状況ではないけれど、やっぱり嬉しくなってしまう。


「……俺、妬いてたんだ」


次の瞬間、楓の言葉があたしをドキドキの渦に巻き込んだ。


「水沢とお前が学校で話してるの見て、本当はすっげぇムカついてた」


コップをテーブルの上に置いて、楓は続ける。


「でもお前にそういう気持ちがないのは分かってたし、俺自身にイラついてて、お前にも突き放した態度をとってしまった」


「楓……」


「……自分の中で試してたのかもしれない。最低だよな、俺」


そんな楓の言葉にあたしは思いっきり首を振る。


最低なのはあたしの方。


水沢日向クンの気持ちにきっぱりとけじめをつけられなかったから。




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