【続】幼なじみは俺様王子。
「あ、ありがとう……」
ぼそぼそと聞こえるか分からないくらいの大きさで呟いた。
それでも楓はちゃんと聞き取ってくれたみたい。
「そんなこと言ってる暇あったら早く直せっつーの」
そんなぶっきらぼうな言葉を残して、あたしの部屋を後にした。
バタンとドアが閉まったのと同時に、ベッドに横になる。
もう!
あんなこと言っちゃって。
ホント、素直じゃないヤツ。
だけど……
本当は心配してくれてたんだよね。
そう思うと自然と胸が熱くなった。
「ありがとう、楓……」
ゆっくりと目を閉じる。
――『今日、南と桜田がC組に来たぞ』
それと同時に、さっきの楓の言葉が蘇る。
愛チャン。
あたし、愛チャンが全然分からないよ……。
愛チャンは何を思っているの……?
あたしの中で、そんな灰色のモヤモヤとしたものが渦を巻いていく。
嵐の予兆のような気がした。