【続】幼なじみは俺様王子。
「俺をあげよっか?」
意地悪な笑みは、徐々にあたしに近づいてくる。
「な、なに言って……」
楓の顔が近すぎて、もう抵抗出来ないところまで来ていた。
「なぁ?」
あたしの返事を煽るように、あたしに覆い被さるようにして顔を近づける。
あたしの耳の横にある楓の両手に神経が集中する。
お互いの鼻と鼻がぶつかり合った。
ドクンドクンと激しく脈を打つ心音は、今にも楓に聞こえちゃいそう……。
「だ、ダメだよっ、こんなとこで……」
精一杯出した言葉は、狼サマを更に誘惑することになる。
「なぁ、言えよ」
赤面するあたしとは裏腹に、楓は余裕の笑みで囁いた。
「本当は欲しいんだろ?」
「ち、違うっ……」
ど、どどど、どうしたらいいのぉ!?
返事は見つかっていても、恥ずかしくて言えなかった。
楓はきっとあたしの本当の気持ちに気づいている。
だけど、わざと言わせるようにする。
なんて意地悪な狼サマ……。