【続】幼なじみは俺様王子。




やっぱり楓はすごいなぁ……。


料理も掃除も裁縫も、それにこんなに細かい作業まで、器用にこなしてしまう楓が羨ましい。


あたしもちょっとは見習わなくちゃ。


そんなことを思っていたら、包丁で食材を切っていた楓と目が合ってしまった。


瞬間、心臓がドキッと飛び跳ねる。


「おかえり。穂香」


「た、ただいま」


優しく微笑んだ楓に、あたしは小さく頷いた。


「よぉし! ケーキ作るぞぉ!」


いつの間にか身支度を整えた愛チャンが、気合を入れてキッチンに立つ。


「あたしも手伝うわ!」


あーちゃんの言葉に、「あたしも!」と言ってキッチンに行こうとしたら……


「穂香はいいわよっ!」


と、あーちゃんに止められた。


「今日の主役は穂香なんだから、ゆっくりしてなって」


「でも……」


そんなのみんなに悪いし……。


そう言おうとした言葉は、愛チャンによって遮られる。





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