【続】幼なじみは俺様王子。




それに続いて、爽は動揺を隠しきれない表情で言った。


「ま、まあ、見た目はまあまあだな」


エプロンをたたむ楓が、そんな爽を見て鼻で笑う。


「素直に美味そうだって言えよ?」


「ば、バカ! 俺はそんなこと一言も言ってねえだろ!」


ふたりのやり取りを、あたしと瀬川クンは苦笑いしながら見つめる。


このふたり、なんだかんだ言って仲いいんだよね。


いつの間にか隣に座ってるし……。


「はいはーい! ケーキおくよ~」


すると、あーちゃんと愛チャンがキッチンからケーキを運んできた。


テーブルの真ん中に置かれたケーキに、あたしは目をキラキラと輝かせる。


純白の生クリーム、真ん中には苺やオレンジ、ブルーベリーなどが飾られている。


そして大きいろうそくが1本、小さいろうそくが8本立ててある。


形は少し崩れていたけど、あたしにとっては最高のバースデーケーキだ。


「じゃあ、始めるか」


楓の言葉を合図にあーちゃんが部屋の明かりを消す。


あたしを祝福するみんなの歌声が響く。


こんな風に、みんなにお祝いしてもらえるなんて……。


あたしはとってもシアワセな気持ちになった。





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