【続】幼なじみは俺様王子。
「この前言ったろ? 俺をあげるって」
耳元で囁かれた声は、あたしの体温を上昇させるのに十分すぎるものだった。
「ちょ、ちょっと……」
そんなあたしの言葉には耳も傾けず、楓はどんどん距離を縮めてくる。
もお! 無視しないでよ!
「こんなところじゃダメだよ……」
唇が重なる寸前で、楓は動きをピタリと止めた。
「こんなところ? じゃあ、違う場所ならいいんだ?」
「そ、そういうわけじゃないけど、ひゃあ……!」
体が宙に浮いたと思ったその時には、すでに楓に抱きかかえられていた。
「いいよ! 自分で歩けるからっ!」
あたしをお姫様抱っこしたまま部屋に向かう楓。
「いい子にしてて?」
子供をあやすような楓の甘い口調に、あたしは案の定、素直に頷くことしかできなくなった。
ーーガタン。
連れてこられたのは楓の部屋。
楓は足で無造作に部屋の扉を閉めると、あたしをベッドに押し倒した。