【続】幼なじみは俺様王子。
「なにやってんの?」
お風呂から出てきた楓が、濡れた髪を拭きながらキッチンに入ってきた。
楓は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して、コグリと喉を鳴らすと、フライパンの上で丸焦げになっている生地に顔を歪ませた。
「これは……なんだ?」
ペットボトルを持ったまま、無残に流し台に置かれた生地を目を丸くして見つめる。
「えっと、これは……クレープの生地なんですけど……」
あたしはそんな楓に苦笑いを浮かべた。
「どう……かな?」
「この丸焦げの生地を、どう評価しろと?」
うっ……。
確かにその通りかも。
こんな真っ黒の生地を、どう?だなんて聞いたあたしが間違ってた……。
「あ、あの……」
よし! こうなったら、生地を美味しく作れるコツを教えてもらおう!
あたしの言葉に耳も貸さない楓は短いため息をつくと、近くにあったエプロンをかけた。