【続】幼なじみは俺様王子。
そんな胸騒ぎが続いた翌日。
転校生が来るという噂は学校中に広まっていた。
なんだかいつもより周りが騒がしい気がする……。
そんなことを思いながら上履きに履き替えて、教室へと向かう。
廊下を歩いていたあたしの横を、誰かが猛スピードで走り抜けていった。
「ひゃあ……っ」
その迫力に思わず声をあげる。
び、びっくりした……。
その人物はあたしの前でピタッと足を止めると勢いよく振り返った。
「そ、爽!?」
視線の先には、息を切らして苦しそうに肩で息をしている爽。
爽がこんなに慌ててるなんて、一体なにがあったんだろう?
「おいっ、穂香! 楓、見なかったか!?」
「楓? 見てないけど……」
楓はあたしよりも先に家を出たから、もうとっくに学校に着いているはず。
「そっか」とつぶやいた爽が、深刻そうな表情であたしを見た。
「……柚月が」
「えっ?」
ゆ、柚月サン……?