【続】幼なじみは俺様王子。
「どうゆうことよ?」
「詳しくはわかんないけど……」
ーー『柚月が今日、こっちに転校してくるらしい。俺達も何にも聞いてないから、詳しくはわかんねぇけど。C組に来る転校生ってのはきっと柚月のことだろ』
あわてて教室に向かったあたしは、爽が言っていたことをすぐにあーちゃんに報告した。
まさか噂の転校生が柚月サンだなんて……。
藤宮柚月サン。
小中学校時代の楓と爽の幼なじみ。
前に爽が話してくれた。
爽はずっと柚月サンのことが好きで、柚月サンはずっと楓のことが好きだった。
柚月サンは生まれつき体が弱くて、昔から入退院を繰り返していた。
だけど、楓にフられたあの日を境に柚月サンは発作の頻度が増えて、ずっと入院していると聞いていた。
そんな柚月サンが、転校してくるなんて……。
あの胸騒ぎの原因はこのことだったのかも……。
「……それはヤバいわね」
あーちゃんは考えこむように顎に手をあててつぶやいた。
「王子と早川にとって、彼女は特別な人間。彼女はまだ王子のことを想っているでしょうね」
柚月サンが、まだ楓のことを……。
考えるだけで胸が痛くなる。