【続】幼なじみは俺様王子。





「……ねえ、穂香ちゃん」


その揺るぎない瞳が言いたいことは、なんとなく検討がついた。


「なに……?」


心臓が激しく脈を打つ。


あたしは汗ばむ手で、持っていた箒をギュッと握りしめた。



「あたし……まだ、楓のことが好きなの」


「柚月サン……」


驚きはしなかった。


だって、柚月サンが楓をそんな簡単に忘れられるはずはないってわかってたから。


簡単に吹っ切れられるような想いなら、こんな切なそうな顔なんて、しない……。


あたしの目の前にいる柚月サンは、とっても悲しそうな顔をしていて……


なんだかとても胸が締めつけられた。



「楓が穂香ちゃんを好きなことくらいわかってた。だけど、どうしても自分の気持ちを抑えることが出来なかった。だからあたし……楓に告白したの」


柚月サンの言っていることが嘘だとは思えなかった。


そんな真剣な表情でそんなこと言われたら、なんて言えばいいのかわかんないよ……。


あたしは何も言わずに、柚月サンを見つめた。



「でも、やっぱり楓は頷いてはくれなかった」


ーー柚月サンの瞳から、楓への想いが頬に伝った。






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