【続】幼なじみは俺様王子。
ムカムカムカッ……
照れあっている2人を見て、だんだんと怒りが込み上げてくる。
「随分と仲いいんだな」
爽の無愛想な言葉で、あたしの中の何かがプツンと切れた。
なぁああああによっ!
駅のホームで、助けてもらったくらいで“楓”なんて呼んじゃうワケ!?
で、なんで楓まで照れてんのよぉおおおお!
「川島、穂香…サン?」
蓁宮椿姫サンは上品な声で、あたしを呼んだ。
みんなの視線があたしに向けられる。
あーちゃんも、愛チャンも驚いている様子。
だけど、一番驚いてるのは……
な、なんであたしの名前知ってるのぉおおおお!?
まあ、情報源はコイツしかいないけど。
あたしは楓を睨みながら“プライバシーの損害よ!”と心の中で叫びを上げた。
「聞いてます? 川島穂香サン」
「……あっ、はい」
あたしが、力無く頷くと蓁宮椿姫サンはニコッと笑った。
どこかで見たことあるような、企みの笑み……。
この笑顔、どこで見たんだっけ……?