【続】幼なじみは俺様王子。





あの時に投票やってたんだ……。


「きっと楓が選ばれるね、それは」


あたしはそう確信した。



「グランプリに優勝して、楓のキスをもらえた方の勝ち。負けた方は楓から潔く身を引く。これでどう?」


「そ、そんなっ、いきなり言われても……」


文化祭まであと少ししかないのに、なにしたらいいのかわからないよ。



「ちなみに、ふたりとも優勝者に選べなかった時はふたりとも楓から身を引くこと」



どっちにしても、優勝しなきゃダメだったこと?


自信ないって……。


「とにかく、そういうことで決まり! お互い正々堂々がんばろう?」



「う、うん……?」


なんか、半ば強引のような気がするけど……。


「じゃあ、またね。穂香ちゃん」


そう言って、ニコッと無邪気な笑顔を向けた柚月サンは足早に教室を後にした。


柚月サンの後ろ姿を見つめて、一気に肩の力が抜ける。


はぁああああ……。


大丈夫かな? あたし……。








< 242 / 324 >

この作品をシェア

pagetop