【続】幼なじみは俺様王子。
「ちょっと、お話があります。付き合って頂けます?」
蓁宮椿姫サンは、笑顔のまま続ける。
……あぁあああああっ!
思い出した!
この笑顔は……
あたしは、去年の出来事を鮮明に蘇えらせる。
愛チャンの笑顔にそっくりだ!
『楓クンに近づかないでくださいね?』
あたしにそう言った時の愛チャンの笑顔……。
……この人、絶対に裏がある。
断る理由なんて、探しても見つからなくて、あたしはコクリと頷いた。
「では、こちらへ」
一瞬、蓁宮椿姫サンがニヤリと笑った気がした……。
悪魔の笑顔……なのかもしれない。
後ろ髪引かれる思いで、あたしは蓁宮椿姫サンの後を追う。
「こちらにお座りになってください」
連れてこられた場所は、屋敷の大きな庭だった。
蓁宮椿姫サンに言われた通り、あたしは和風の小さなベンチに腰掛けた。
「……いきなり呼び出したりなんてして、すいません」
平謝りをしながら、あたしを見つめる。