【続】幼なじみは俺様王子。
「柚月から全部聞いた」
「そう、なんだ……」
……昨日の帰りのことを思い出してしまった。
楓に『そんなことする必要ない』って言われたことを……。
あんなに柚月サンにべったりされても何も言わない楓。
それなのに、きちんと勝負をつける必要がないなんて。
楓にとって柚月サンが“特別”なことくらい、十分わかってる。
だけどそれ以上に、彼女であるあたしはもっと特別だと思ってた。
あたしが、間違ってたのかな……?
楓にとっての“特別”はあたしじゃなくて、柚月サンだったの……?
そう思うと、途端に涙が溢れ出した。
「おい……っ! 穂香っ」
爽が驚いた表情であたしを見つめる。
「……あたしっ、勝てる自信なくてっ」
「……穂香」
こんな弱音、見せたくない。
あたしの涙で爽を困らせたくない。
そう思ってても止まらない……。