【続】幼なじみは俺様王子。
「楓が柚月サンに取られちゃう気がして怖いの……っ」
甘いアイスココアの味が、しょっぱい涙の味に変わった。
「楓にとっての“特別”は、あたしじゃないの……?」
……爽が眉を下げて困った顔してる。
あたしはその表情で、ふと我に返った。
「……ごめん爽。さっきのことは忘れ……」
「……俺」
精一杯涙を堪えて、やっと出た笑顔と声が爽の言葉によって遮られた。
漆黒の瞳であたしを捉えるその表情は、どこか切なくて……。
「そんな風に泣かれたら、お前のこと諦め切れなくなるだろ」
「爽……」
呆気にとられるあたしの目元を、親指で優しく拭う。
その温かな指先に胸がキュッと締め付けられた。
「俺……まだお前のこと……」
ーーチャリン チャリン♪
爽の言葉を遮ったのはお店のドアのベル。
そしてドアの向こうから現れた人物……。
「……こんなとこで何してんだよ?」