【続】幼なじみは俺様王子。
どうしてここにっ……
驚いて声も出すことが出来なかった。
「……楓」
あたしの代わりに口を開いたのは爽。
いつもみたいに楓を挑発するような素振りは一切見せず、ただ見つめているだけ。
爽を無視してあたしの目の前まで来た楓の顔を見ることが出来なくて、思わず俯いてしまった。
「俺の見てないところで浮気?」
「そ、そんなんじゃない……っ!」
楓は、そう言い放ったあたしの腕を掴むと、
「爽。コイツ、悪いけど返してもらう」
そう言ってあたしを無理やり喫茶店から連れ出した。
「楓っ! 離して……っ」
いくら腕を振りほどこうとしても、楓の力には敵わない。
家のドアを開け、玄関に入ったところで掴まれていた腕がようやく解放された。