【続】幼なじみは俺様王子。
「……なんで爽のところにいたんだよ?」
不機嫌そうに顔を背けた楓が呟いた。
「たまたま喫茶店に入ったら、爽がバイトしてたの。それで……」
「それで、涙を拭ってもらってたって?」
「なっ……!」
楓の言葉は事実。
だから、なにも言い返すことが出来なかった。
「……なあ、どうなんだよ?」
楓があたしを玄関のドアに追いやった。
それと同時にあたしの頭の横に両手をおいて、身動きを取れなくする。
前には楓、後ろには壁。
もう逃げ場はない。
「答えろって。穂香」
柔らかな楓の髪があたしの頬をくすぐる。
ブラウンの力強い瞳はまるで、早くとあたしを煽るように見据えている。
「爽のことが好きなんだろ?」
す、き……?
あたしが爽のことを好きだって言いたいの?
楓の挑発的な言葉で、あたしの中の何かがプツンと切れた。