【続】幼なじみは俺様王子。
「……楓だって」
「……なに?」
あたしは伏せていた瞼をゆっくりと上げた。
ポーカーフェイスを崩さない余裕な表情の楓が映る。
言っちゃダメ。
そうわかっていても止められなかった。
「どうして、柚月サンにベッタリされても何も言わないの?」
思わず声が震える。
「柚月……?」
楓は不思議そうに目を丸くしてあたしを見つめる。
楓から発される“柚月”という名前。
そんなことにさえも敏感になってしまう。
昔から親しい幼なじみなのはわかってる。
だけど、そんな風に他の娘の名前を呼ばないでよ……。
「柚月サンは楓にとって特別なのはわかってる。だけど、楓の彼女はあたしだよ……?」
私はいつからこんなにわがままになったんだろう。
楓のことになると、自分で自分わからなくなる。
まるであたしじゃないみたいに……。