【続】幼なじみは俺様王子。
「あたしと柚月サンががコンテストで楓を賭けてることは、必要のないことなの?」
楓を想う言葉は涙とともに次々と溢れてくる。
「……っ、楓は柚月サンのことが好きなのっ……?」
「……お前さ」
そう言ったとき、今まで黙っていた楓が静かに口を開いた。
「俺が柚月を好きだって?」
早く脈を打つ鼓動を絶ちきるようにコクンと頷く。
すると楓はそんなあたしを見て、はぁ……っと深いため息をついた。
「……お前、覚えてねぇの?」
覚えてない?
どうゆう意味?
「なんの、こと?」
首を傾げたあたしに、呆れたように笑った。
それはすごく冷たい笑みで。
楓はドアから両手を静かに離すと、あたしに背を向けた。
途端に心臓がドクドクと暴れだす。
「もういい。……勝手にしろ」
そう言い放つと、楓はリビングへと入っていってしまった。