【続】幼なじみは俺様王子。
「……穂香ちゃん、ちょっといいかな?」
首を少し傾げてそう言う柚月サン。
あたしに話があって来たことは何となくわかってたけど、いざとなるとなぜか緊張してしまう。
「うん……」
そう頷いて立ち上がる。
心配そうな顔であたしを見つめるあーちゃん達に、「ちょっと行ってくるね」と精一杯の笑顔を向けて、柚月サンの後について行った。
新校舎からだんだんと離れていく。
柚月サンとあたしの間に流れる沈黙。
でも、それは旧校舎の裏に着いた瞬間に、柚月サンによって破られた。
「……コンテスト、もう少しだね」
「えっ、あ、うん……」
文化祭だというのに、校舎裏にはあたし達以外に誰の姿も見つからない。
遠くから聞こえる賑やかな声は、まるで別世界のようで。