【続】幼なじみは俺様王子。
「……穂香ちゃんには負けないから」
「えっ?」
あたしを力強い瞳で見つめる柚月サンは真剣な表情。
「あたしは絶対、穂香ちゃんから楓を奪ってみせる!」
柚月サン……
あたしは何も言うことが出来ずに立ち尽くしていた。
……あたし、なんにも変わってない。
一年前のあの頃と。
“楓が好き”
自分の気持ちを素直に言うことさえも出来ずにただ怯えていた。
大切なものを失いかけた。
あんなに後悔した。
変わりたい。
楓が好きだって胸を張って言えるあたしに。
ずっとそう思ってたのに……。
これじゃ、あの頃の弱虫なあたしと何一つ変わってないよ……。