【続】幼なじみは俺様王子。






ーーその時、思い出した。


ーー『お前、覚えてねぇの?』


楓の言葉の意味を。


……そうだ。


あたしはあの時、楓と約束したんだ。


楓ファンの女の子達に嫌がらせをされた時、何度も逃げ出したくなった。


胸がちぎれそうなくらい痛くて苦しくて、楓の隣にいるのがあたしでいいのかとても不安になった。


でも……


ーー『俺はずっと穂香を信じてる』


そんなあたしに楓は、宝物みたいな言葉をくれたんだ。


ーー『だから穂香も俺を信じて、な?』


その言葉にあたしは素直に頷いた。


“信じ合おう”

あの日交わした約束。


なんで楓を素直に信じることが出来なかったんだろう。


“楓なら大丈夫”だって、胸を張って言ことが出来なかったんだろう。










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