【続】幼なじみは俺様王子。
……たとえ、あたしに勝ち目はないとわかっていても
彼のことだけは信じたい。
もう、あんな悲しい顔はさせたくないから。
「あたしも、柚月サンには負けない」
放ったその声は、自分でも驚くくらい力強いものだった。
目の前にいる柚月サンは驚いたように、大きな瞳を見開いてあたしを見つめている。
「この想いは絶対に譲れない」
たとえ、柚月サンがどんなに可愛くて、純粋で素直な女の子だとしても……
「あたしは、楓が好き」
あたしを“好き”だと、優しく微笑んでくれた楓を
あたしは、信じる。
「でも、コンテストでもし負けたら、楓はあたしの……」
「そんなの、関係ないよ」
戸惑う柚月サンの言葉を遮る。
「コンテストの勝ち負けじゃない。本当に必要なのは、気持ちだとあたしは思う」
「気持ち……?」
「確かに、勝負に負けた方は楓から潔く身を引くって約束した。……だけど、本当にそれを決めるのは勝負じゃない」
「どうゆうこと?」
柚月サンは不思議そうに首を傾げる。
………そうだ。
今、やっとわかったよ。
柚月サンと勝負する必要なんてない。
そう言ってた楓の言葉の意味も。