【続】幼なじみは俺様王子。
「……楓の気持ち」
必死に探しても見つけられなかった迷宮の出口に、やっとたどり着けた気がした。
あたしたちがコンテストで勝負をつけたところで、本当は何にも変わらないんだ。
本当の勝負は、
「楓が、どっちの気持ちを受け取ってくれるか」
……たったそれだけ。
ーー迷宮。
探せば探すほどどんどん深くなって、自分の進むべき道さえも見失ってしまう。
でも、シンプルに考えれば案外簡単にたどり着ける。
それは……恋も同じ。
どちらかが勝負に勝ったところで、楓がその気持ちを受け取ってくれなくちゃ、何も変わらない。
どうしてこんな単純なことに、気づくことができなかったんだろう。
「……で、でも!あたしは負けたくない!」
柚月サンの瞳が光を放った。
それは紛れもなく楓を想う涙で。
胸が、チクリと痛んだ。
「確かに、穂香ちゃんの言ってることは正しいよ。だけど、あたしは負けたくないの」
涙の溜まった瞳で、じっとあたしを見据えてくる。