【続】幼なじみは俺様王子。
柚月サンの去っていく後ろ姿を見つめながら、だんだんと胸の鼓動が加速していくのを感じた。
コンテストに負けたらどうしよう、という思いよりも、柚月サンに楓を奪われることの方がよっぽど不安だった。
あんな風に、正々堂々「負けない」なんて言われたら、本当に奪われちゃうような気がして……。
出きることなら、このまま逃げ出してしまいたい。
だけどそれじゃ、今までのあたしと何も変わんない。
楓にも、大切なことを伝えられない。
だからあたしは逃げ出したりしない。
不安でいっぱいの胸を抱えて、あたしは体育館に向かって歩き出した。